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【新連載 アキバ社労士の労務最前線 vol.6】

秋葉原に、『社会保険労務士事務所オフィス松本』を開設する実務家社労士が、人事担当者の悩み・労働関係諸法令など、労務の最前線情報をお届け致します。

今回は、『運用3号』についてお伝えします。

今年の1月1日より、『運用3号』なる者の取扱いが始まりました。
そして、2月24日に『運用3号』の取扱いが保留になりました。

『運用3号』とは、配偶者(多くの場合は、夫)が会社等を辞めるなどして国民年金の第2号被保険者から第1号被保険者にかわったことで、その被扶養配偶者(多くの場合は、専業主婦)が、実際には第3号被保険者から第1号に変わっているにもかかわらず、その第1号被保険者としての届出をしていなかったために、記録上は第3号被保険者のままになっているケースについて定めた運用です。

昨年までは、第3号被保険者期間として記録管理されていた期間が、実際には第1号被保険者であり未納状態が判明した場合、老齢年金が減額になった、あるいは受給要件の25年に満たないため無年金になった人もいました。

対象となる人は、100万人にもなるだろうと言われています。

その救済措置として、今年の1月1日より、直近の過去2年分の保険料を納めれば過去の『運用3号』の期間については、保険料を免除するという取扱いが始まりました。

しかし、この取扱いは大きな問題があります。
例えば、この手続きを知らずに何もしなかった人だけでなく、知っていたのに保険料の支払いがイヤだから放置するなどの確信犯的な人までも一緒に救済されてしまうことです。
また、正しく手続を行い保険料の納付を行った人と、救済措置対象の受け取る年金額が同じになる不公平さがあります。
さらに、第3号から第1号への切替手続を行いながら、収入等が低いなどの理由で保険料の免除申請、あるいは未納になった人の方が、将来受け取る年金額が低くなる等です。

また、昨年の12月31日までに運用3号期間が判明した場合は対象外であり、1月1日以降に判明した場合は救済されるというのもおかしな話です。

当初から、これらの問題は指摘されていましたが、2月24日に取扱いが保留となりました。これによって、1月1日以降に『運用3号』の手続を行った約3000人の取扱いは保留のままです。

例えば、『運用3号』には、次の場合が考えられます。

夫(会社員 第2号)、妻(専業主婦 第3号)
(1)
夫が、退職により 第2号 → 第1号
妻      第3号 → 第1号 の手続漏れ

(2)
妻の収入が130万以上
妻     第3号 → 第1号 の手続漏れ

また、夫が転籍により会社が変わった時は次の手続になります。

夫 第2号(資格喪失) → 第2号(資格取得)
妻 第3号 → 第3号(転籍先で第3号の資格取得)


『運用3号』問題は、配偶者が自ら第1号に切替を忘れていたことにあります。
これは、行政が手続の周知が不十分だった点はありますが、同時に、会社も退職した従業員に、年金の手続について教えていれば救われた人もいたのではないかと思うのです。

by office-matsumoto | 2011-03-15

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