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運輸安全マネジメント

安全とは何でしょうか?あなたの今いる場所は安全でしょうか。
例えば、今使っている机の脚が突然折れるかもしれない。
では、私たちは「100%安全とは言えないから」と机を変えたりするでしょうか?
また、何かあったら困ると安全ヘルメットやプロテクターをつけているでしょうか。
多分、そういう人はいないでしょう。
万が一、机の脚が折れてもたいしたことがないと、そのリスクを受け入れていると言えます。

つまり、安全というのは、受け入れ不可能なリスクがない事だと言えます。
これは言いかえれば「受け入れ可能なリスクはあるけど、それを受け入れている状態」が安全と呼ぶ状態だということです。
そして、その安全を確保するための手段を「安全マネジメントシステム」と言います。

※以下は2012年2月24日講演のセミナー「安全マネジメントについて 〜今日からできるリスクアセスメント〜」の内容を抜粋したものです。
セミナーではわかりやすい具体例をあげ、実際にRAを行った際に起こりうる問題点や解決策、また導入の効果についてもお話させていただきました。
今後もセミナーは継続して行ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

安全マネジメントシステムとは

安全マネジメントシステムには、2つあります。

労働安全衛生マネジメントシステム(中央労働災害防止協会)
目的:労働者の災害防止
このうち、陸運業の現場状況を踏まえて策定されたものが「リクムス」です。陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)が陸運業の現場状況を踏まえて策定したものです。

運輸安全マネジメント
目的:輸送の安全を確保する
自動車運送事業関係法(道路運送法及び貨物自動車運送事業法貨物)にもとづき、輸送の安全性の向上に努めなければなりません。

片や「労働者の安全と衛生(ケガと病気)」、もうひとつは「輸送の安全」ですが、どちらも企業トップの安全への取組に向けた決意を表明し、
「現在の状況を把握し、問題があれば 計画・実行し、取組が成果を上げたかチェックし改善する」
いわゆるPDCAサイクルで 安全への取組を行います。
その現状を把握するツールがリスクアセスメント(以降「RA」)です。
そして RAでは把握だけでなく それに基づいて対策をたて実施することろまで行います。

リスクアセスメント(RA)とは

  • 1.趣旨
    自主的な安全衛生活動の取組を促進することを目的としています。

  • 2.適用
    全てのものを対象としています。「危険」というイメージのある現場だけでなく、事務所であってもリスクはあります(引き出しに指をはさむなど)。

  • 3.実施内容
    職場の「危険性または有害性」を特定→
    それが及ぼす「危害の大きさ・重篤度・起きる可能性」を調査→
    リスクレベルを見積る→
    何から対策を講じればいいかの優先度をつける→
    どのような対策を講じればいいか低減措置を検討→実施

  • 4.実施体制等
    実施体制のメンバーは労働安全衛生法で定められています。また、事業所の規模によって異なります。
    10人以上50人未満 安全衛生推進者
    50人以上 安全管理者、衛生管理者、産業医
    100人以上 総括安全衛生管理者
    また、50人以上の事業所は「衛生委員会」、100人以上の事業所は「安全委員会」を毎月1回開催せねばなりません。

  • 5.実施時期
    作業方法や手順を新たに採用・変更したとき 、リスクが変化を生じたとき

  • 6.対象の選定
    実際、過去に労災事故が起きた、ヒヤリハット報告があったものだけではなく、「こんなことをしていたら事故が起きてもおかしくないよな」と誰もが思うようなことや、定常作業も選定に入れてください。
    毎日の慣れた仕事は担当者によって手順や作業内容が変わっている場合が往々にしてあります。
    また、慣れているが上に、異常な状態であってもその対策がルーチンワークとして組み込まれている事があります。

  • 7.情報の入手
    KYT事例、ヒヤリハット報告、労働災害事故、作業手順書等

  • 8.実施時期
    作業方法や手順を新たに採用・変更したとき 、リスクが変化を生じたとき

  • 9.「危険性・有害性」の特定
    危険源(危険性・有害性)は、「ある」「ない」で答えます。
    例をあげると、「高さ」があってもそれだけでは事故が起きません。 危険源と 「人」がいて事故が発生します。
    「危険源を探している」はずが、いつのまにか「危険な状態の場所はないか」探していることがあります。
    例えば、[机に人が乗ることがないから危険源ではない。][壇上につまづくこともあるけど、たいしたケガにならないから危険源ではない]リストアップしない。
    これではだめです。
    危険源としてリストアップし、それをリスクという面で評価し対策が必要か判定していく過程が、RAなのです。

  • 10.リスク低減措置の検討および実施
    事故が起こった場合の危害の大きさ(被災の程度)、事故の発生する可能性から、リスクレベルを算定し、評価します。
    レベルの高いところからリスク低減措置を考えて行きます。
    低減措置は2つの方向から考えます。まず、「危険源を無くす或いは小さくする」こと(本質的・工学的対策)、もうひとつが「事故の発生する確率を下げる」こと(管理的対策)です。

  • 11.記録
    対策を行った後に、その後リスクがどうなったかを評価します。
    許容可能か、これ以上は低減措置が実施できないときに[完了]とし記録します。

RAと安全配慮義務

安全配慮義務とは、法令遵守は当然のこと「就業の場が安全な場であり安心して働いてもらうことができるようにしなければいけない」ということです。
義務を果たしたか証明するには、「就業の場は確かに安全である」という確認作業が必要であり、どのように立証したかが合理的にわからなければならないのです。

例えば、労災事故が起きれば会社の責任が問われます。訴訟になれば、会社は責任を果たしていたと立証できなければなりません。
もし、安全について何も調査していなければどうでしょうか。
例え調査しても その調査が安全を確認するものではなく、調査するための調査、記録するための調査であれば意味がありません。

安全は、愚直にリスクを調査し対策を講じることを続けて行くことでしか得られません。実体のない安全配慮義務であれば意味がないのです。

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