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定年規定の見直し

人手不足を背景にし、高齢者の活用を積極的に検討する会社が増えてきています。

会社には、改正高年齢者雇用安定法(令和3年4月1日)により、65歳までの雇用確保義務と、70歳までの就業機会を確保する努力義務があります。
しかし、高齢者には、身体の状況や働き方等の希望に個人差があり、また、労災の発生率が高いなどのデータもあるため、約7割の会社は、定年60歳、再雇用65歳の再雇用制度を実施するにとどまっている状態です。
一方で、図表1のように、定年延長・廃止により、66歳以上まで働ける企業は増えています。

65歳定年 15.3 16.1 17.2 18.4 20.1 21.2
65〜69歳定年 0.7 0.8 0.9 1.0 1.0 1.0
70歳以上定年 1.1 1.2 1.3 1.5 1.7 1.9
定年廃止 2.6 2.6 2.7 2.7 3.1 3.1

「定年の状況の推移」(単位:%)常用労働者31人以上企業の集計
(出典:(独)労働政策研究・研修機構)

定年の延長・廃止は、良い人材を広く確保することができ、従業員のモチベーションの維持が期待できます。
反面、人件費がかさみ、組織の若返りが遅れることになります。
再雇用制度は、会社が必要な人材や労働条件を設定することができますが、従業員の働く意欲やモチベーションは下がります。

会社が、「高齢者活用」を考えるときに、実際の具体的な高齢者の従業員をイメージして考えないように注意してください。
次の検討ポイントを検討し、高齢者の活用方針を策定しましょう。

1.高齢者活用方針の検討ポイント

  検討ポイント 具体的な検討内容等
1 定年年齢

・定年を廃止するか、延長するか
・延長する場合は、何歳まで引き上げるか

2 段階制

・一度(に引き上げるか・廃止するか)
・段階的(に引き上げるか・廃止するか)

3 選択定年制

・全社員一律
・定年年齢を選択

4 対象者

・全社員とするか
・管理職や会社が承認した者のみに限定

5 継続雇用の併用

・65歳以降に定年を延長
・65歳以降も再雇用を継続

6 業務内容・役割・責任の程度

・高齢社員の担当業務の内容や果たすべき役割・配置・異動の可能性等

7 役割・人事評価

・役職定年を設けるか
・役職定年を設けた場合、役職定年以降の人事評価をどうするか

8 労働時間

・フルタイム
・一定年齢移行・短日・短時間勤務
・選択的働き方を認めるか

9 賃金

・高齢社員の賃金内容をどうするか
・60歳以前の賃金も見直すか

10 退職金

・退職金支給時期についても延長するか ・60歳定年の場合と同じにするか
・支払時期について、社員が選択できるようにするか

11 その他

・運用開始時期等

2.制度設計例

高齢者の活用方針が決まりましたら、就業規則の「定年規定」を改定します。
規定を4パターンに分けて説明します。

  • (1) 65歳定年(一律・全社員)  定年前後の働き方に大きな変化なし の規定例
    ①65歳以降は、会社が幅のある働き方を提示し、同意した場合に再雇用
    ②65歳以降は、会社が承認する者のみ 満70歳まで継続雇用

  • (2) 70歳定年(一律・全社員)  定年前後の働き方に大きな変化なし
    ①70歳以降は、基準該当者について1年更新により満75歳まで継続雇用

  • (3) 60〜65歳までの選択定年制 65歳を超える再雇用無し

  • (4) 定年の廃止

3.活用できる助成金

定年を見直す際に、活用できる助成金を紹介します。

65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)

65歳以上への定年引上げ、定年廃止、希望者全員の66歳以上継続雇用制度の導入のいずれかの措置を実施した事業主に対して助成されます。 なお、対象となる雇用保険被保険者の人数により、支給額が異なります。

対象被保険者数 65歳への定年引上げ 66〜69歳への定年引上げ(5歳未満) 66〜69歳への定年引上げ(5歳以上) 70歳以上への定年引上げ(5歳未満) 定年の廃止 希望者全員66〜69歳への継続雇用の引上げ 希望者全員70歳以上への継続雇用の引上げ
1〜3人 15万円 20万円 30万円 30万円 40万円 15万円 30万円
4〜6人 20万円 25万円 50万円 50万円 80万円 25万円 50万円
7〜9人 25万円 30万円 85万円 85万円 120万円 40万円 80万円
10人以上 30万円 35万円 105万円 105万円 160万円 60万円 100万円

65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)

50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換した事業主に対して助成されます。(1人48万円)


定年の見直し・定年後の賃金設計を検討される場合は
お気軽に、オフィス松本までご相談ください!

by office-matsumoto | 2024-03-03

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