おふぃま新聞 8月号
8月のおふぃま新聞は以下の内容でお送りします。
1.内閣府作成の「マイナンバー導入チェックリスト」
今回は、内閣府から公表されている、従業員の少ない事業者向けの「マイナンバー導入チェックリスト」(PDFファイル 460KB)の内容をご紹介いたします。
【1】担当者の明確化と番号の取得(マイナンバー管理担当者の決定、従業員への利用目的通知、マイナンバーの確認)
【2】マイナンバーの管理・保管(適切な管理、パソコン利用時はウィルス対策、従業員の退職などで不要になった場合のマイナンバーの適切な廃棄)
【3】従業員の皆さんへの確認事項(マイナンバー制度の従業員への周知)
2.個別労使紛争の主な解決手段と「解決状況確認ツール」の活用
企業と個々の労働者との間で生じる紛争の主な解決手段として、「労働局によるあっせん」「労働審判」「民事訴訟」のほかに「金銭での解決」が挙げられます。厚生労働省は、個別データに基づいて条件を設定すると労働紛争の解決状況を確認することができる個別労働サイト(「個別労働関係紛争の解決状況」)を開設しました。
具体的には、(1)事案の内容(普通解雇、整理解雇、労働条件引下げ等)、(2)残業代請求の有無、(3)労働者の性別、(4)雇用形態、(5)勤続年数、(6)役職、(7)月額賃金、(8)企業規模の条件を設定すると、その条件に合った事件の解決方法(あっせん、労働審判、和解)や利用期間、金銭解決の場合であれば解決金を調べることができます。
3.どう変わる? 標準報酬月額、傷病手当金、出産手当金等の改正
「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」が今国会で改正しました(平成27年5月29日公布、平成28年4月1日施行)。主な改正は以下の通りです。
◆標準報酬月額について、3等級区分が新たに追加され、その上限額が139万円となりました。
◆標準賞与額の上限額(年度における標準賞与額の累計額)が、改正前の「540万円」から「573万円」に改正されました。
◆傷病手当金の額は、1日につき、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額とする(1年に満たない場合はその期間または全被保険者の平均の低いほう)こととされました。 ※出産手当金も同様の改正がされました。
4.過重労働問題に斬り込む「カトク」は企業のここを見ている!
「カトク」とは、今年4月に厚生労働省が東京・大阪の2労働局に設置した「過重労働撲滅特別対策班」の通称です。
5月、同省は、違法残業が複数事業所で行われている場合に、書類送検前の是正勧告とともに企業名を公表すると発表しました。
上記の企業名公表は(1)月残業時間が100時間超、(2)1事業所で10人以上あるいは4分の1以上の労働者が違法残業、(3)1年程度の間に3以上の事業所で違法残業、などに該当する企業が対象とされています。
自社においても、三六協定の締結・届出が適正になされているか、限度時間は守られているか等、改めて確認しておきましょう。
5.トラック運送業の「長時間労働改善」に官民が本腰
5月に厚生労働省に「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」が設置されました。
トラック運送業界、特に中小企業では、時間外労働が60時間超となる労働者の割合が非常に多い状況にあります。また、長時間労働に伴う労災(脳・心臓疾患、精神障害)の件数も多くなっています。
トラック運送業界には、改善基準告示や行政による監督指導への対応などもありますが、労働時間の変化に伴う賃金体系の見直しにはそれなりの時間がかかります。関連助成金等を活用しながら、「所定外労働時間の削減」や「年次有給休暇の取得促進」等の必要な措置を講じていく必要があります。
6.「個人情報漏えい問題」と企業の情報セキュリティ対策
民間企業にとっても、情報漏えいや流失事故は、信用問題や経営上のリスクにもつながります。マイナンバーが10月より個人に通知され、来年1月からは制度がスタートしますので、すべての企業で何らかのセキュリティ対策が必要になってきます。
現在国会で審議中の改正個人情報保護法が成立すれば、今まで「個人情報取扱事業者」の対象外とされていた小規模事業者も規制の対象となりますので、対応の見直しが求められてくることは必至です。
人為的なミスが原因で事故につながっているケースが多いことから、企業においてはITシステムの対応などハード面でのセキュリティ対応だけでなく、従業員に危機意識を持ってもらうため、「社内研修の実施」や「従業員向けガイドラインの策定」等が、今後ますます必要になってくることでしょう。
コラム
平成28年1月からマイナンバー制度が始まります。
「始まると言われても、マイナンバーって何なの?」
「個人情報が漏れると4年以下の懲役だっていうけど本当?」
・・・いろいろお問い合わせをいただきますが、会社は何をしなければいけないのかという具体的な情報がなく弊所も回答に困っているような状態です。
しかし、まずは10月に送付される通知カードが確実に従業員の手元に届くこと、そして通知カードを会社に提出していただくことだと思います。
併せて、会社がマイナンバーをどの業務で使用するか、管理をどうするか検討することも重要です。
by office-matsumoto | 2015-08-01