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おふぃま新聞 6月号

6月のおふぃま新聞は以下の内容でお送りします。

1.「待機時間」の扱いはどうすればよい?

賃金を支払わなかったトラックドライバーの待機時間(手待ち時間)について、「荷物管理を要求されて移動や連絡待ちもあり、休憩時間と評価するのは相当でない」として、労働時間に該当するとする判決が出ました(4月24日横浜地裁相模原支部)。
実務上は、待機時間以外にも、深夜勤務の場合の仮眠時間や昼休みの電話当番の時間などが、労働時間になるのか休憩時間になるのかが度々問題になります。
特定の時間帯が労働時間に該当するか休憩時間に該当するかについて曖昧になっているケースは多く、非常にトラブルが生じやすい問題ですが、「労働時間に該当する時間」、「休憩時間に該当する時間」を社内ではっきりさせておき、労使双方が納得したうえで規定化しておくことがトラブルを防止するための1つのポイントと言えるでしょう。

2.「ストレスチェック」の内容と職場ストレスに関する最近の傾向

現在、国会で審議中の改正労働安全衛生法案に「ストレスチェック制度の義務付け」(従業員50人以上の企業が対象)が盛り込まれているのはご承知のことと思います。
このストレスチェックは、(1)ひどく疲れた(2)へとへとだ(3)だるい などの質問に「ほとんどなかった」「しばしばあった」を答えるものです。
最近の分析結果によると、年代別では20代後半で高ストレス者の割合が高く、男性は「心理的サポート不足」「仕事の質・量」、女性は「意見尊重の風土」が要因となることが多いようです。
改正法案の成立後、今以上にきめ細かなメンタルヘルス対策が求められることになりますので、これらの傾向も参考にしながら、自社における課題を明らかにしておく必要があるでしょう。

3.「自動車運転死傷行為処罰法」が5月20日より施行されます

「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(以下、「自動車運転死傷行為処罰法」)は昨年11月に成立し、「通行禁止道路の高速走行」やアルコールや薬物の摂取、特定の病気の影響で「正常な運転に支障が出るおそれのある状態」で運転し人を死亡させた場合に懲役15年以下、人を負傷させた場合に懲役12年以下とする規定が盛り込まれています。
現行刑法の「危険運転致死傷罪」の適用範囲が狭すぎるとして批判があったことを受け、刑法から自動車事故に関連する規定を分離して成立しました。

企業においては、従業員に対し新法の施行について周知するだけでなく、特定の病気に罹患している従業員の有無の確認や、該当者がいた場合の対応のほか、就業規則、自動車通勤や社用車運転に関する社内規程等の見直しを検討する必要があります。

4.「労働時間法制の見直し」をめぐる最近の動向

安倍政権が成長戦略の策定や改革実現のために設置した日本経済再生本部の下に設けられた「産業競争力会議」では、「ホワイトカラー・エグゼンプション」(以下、「WE」)の導入が検討されています。
※詳細は「新たな労働時間制度の議論(残業代ゼロを認める制度も!)」を参照ください。

上記の産業競争力会議では、WEのほかに「解雇規制の見直し」や「配偶者控除の廃止」等、企業や従業員の生活に大きな影響を及ぼす事項が検討されていますが、またこの他に、「法令の主旨を尊重しない企業の取締りの強化」も検討されています。
具体的には、ハローワークの求人票に従業員の定着率や残業時間数の記載を求めたり、労働基準監督署の人員を増強したりすること等が挙げられています。
企業としては、今後もこれらの動きに注意を払っておく必要があるでしょう。

5.深刻化する中小企業の「事業承継」「廃業」

政府が閣議決定した中小企業白書(2014年度版)で、経営者の高齢化と後継者不足が深刻化している状況が明らかになりました。
事業承継の形態は、内部昇格や外部からの招聘等、親族以外の第三者への承継割合が増加しているようです。
後継者の育成期間には「3年以上必要」と考えている経営者は8割以上に上りましたが、「経営者の年齢別事業承継の準備状況」を見ると、60代で約6割、70代で約5割、80代で約4割が、後継者がいないなど事業を引き継ぐ準備ができていないことがわかりました。

これらの結果を受けて、政府は、第三者への承継支援策と廃業対策を進めていくとしています。
廃業対策としては、(1)廃業に関する基本的な情報提供、(2)匿名性に配慮した専門家支援(電話相談)、(3)小規模企業共済制度のさらなる普及・拡大を図るとしています。

コラム

労働時間に関する動きがとても活発になってきました。
入社4年目までの社員に行った「残業に対する意識・実態調査」では、理想的な残業時間は24時間という結果が出ています。

残業をする理由としては、「残業しないと仕事が進まない」「仕事の難易度が高い」の他に、「社内の雰囲気」「賃金を増やしたいから」というのがあります。

労働時間の短縮に取組むときには、なぜ残業になるのか、仕事の量が問題なのか、能力の問題か、それとも社内の雰囲気が問題なのか、正しく実態を把握することが重要といえます。

by office-matsumoto | 2014-06-01

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