最難関の資産管理、車両管理を極める!第10回
〜KYT(危険予知トレーニング)の進め方 4(最終回) /より広がりのあるKYTを目指して〜
全員参加で、「交通事故削減」を目的に、共通認識の下、継続的にKYTを実践するとき、そこには必ずP(プラン)、D(実践)、C(点検・課題抽出)、A(改善)=PDCAサイクルが生まれます。
KYTは最初、交通事故防止のための危険予知トレーニングとして浸透していきますが、継続的に実践することにより、「全員参加型」、「共通認識」、「PDCAサイクル」というメリットを得ることができ、それは、職務内容や職場を越えた広がりのあるものに発展していきます。
職務別・発生原因別KYT活用の広がり例
全員参加型でかつ、手作りの安全対策を推進してきた職場風土を他の職場・職務にも波及させることにより、交通事故防止のみならず、職務別・発生原因別にKYT手法を取り入れることが可能です。
- 1..「積み降ろし」作業におけるKYTの取り組み
交通事故だけでなく、「積み降ろし作業」における労働災害も多数発生しています。その防止にもKYTの活用は大変効果的です。
交通事故 900件 墜落・転落 3,619件 動作の反動・無理な動作 1,707件 転倒事故 1,570件 - 2.はい作業や庫内作業全般へのKYT手法の展開
倉庫内における各種機器や什器と共に、危険を伴う作業のひとつに「はい作業」があります。
「はい作業」とは高さが2メートル以上の「はい付け」または「はいくずし」の作業をいいます。
労働安全衛生法では、「はい作業主任者技能講習」を修了した者を作業主任者として選任し、作業主任者が直接、作業の方法・手順を決定し、作業を直接指示しなければならない、としています。
倉庫内には「多段式のラック」や崩れやすい「はい積みの袋物」、「クレーン・フォークリフト」、「エレベーターやコンベアー」等の機器類が多くあり、常に危険を予知し事故防止行動を取る必要がありますので、KYT手法の導入は不可欠といえるでしょう。 - 3.フォークリフト操作におけるKYT
上記庫内作業の中でも、フォークリフトは簡便な運搬機器なので、安易に操作することが多く、また使用頻度も高いので、事故が後を絶ちません。
法令でフォークリフト運転技能者講習会の受講や機器の定期自主点検が定められていることから、コンプライアンス遵守の面でもKYTは重要な手法といえます。
まとめ
KYTは多額のコストをかけずに、全員参加型のボトムアップ形式で、メンテナンスも容易にでき、かつ、効果度の高い訓練方法であると同時に、広がりのある手法であるといえます。
一度職場の連帯感や共通認識が醸成できれば、KYTにとどまらず、他の業務にも展開していくことが可能であり、また、展開していくことをお勧めします。
なぜなら、安全・コンプライアンスの向上、また、事業体質の改善や効率向上のための各種の手法(例:5S運動、なぜなぜ改善、提案制度、等)にも、そのエネルギーを転用することが可能だからです。
しかし、まずは、スモールスタート、スピードスタート!
最初から大きく構えすぎず、着実にKYTの定着を図っていきましょう!