最難関の資産管理、車両管理を極める!第7回
〜KYT(危険予知トレーニング)の進め方 1〜
多くの職種・職場で実践されている事故事前防止訓練の手法として、KYTがあります。
KYT(K:危険 Y:予知 T:トレーニング)は事故や労働災害等を未然に防ぐことを目的に行う訓練です。
運行時の事故防止KYTは、次のように行います。
- (1)運行経路や作業現場の中に潜む危険要因とそれが引き起こすリスクを皆で話し合い、その状況を描いたイラストシートを作る。
- (2)イラストシートに危険のポイントや、危険を回避するための実施事項を記入する。
- (3)危険個所では、指差呼称で確認し「行動する前に実践する」ことによって危険を回避する。
今回から4回に分けて、実践的KYTの進め方をお伝えします。
効果的な事故防止対策としての「KYT」
事故防止の基本は、次の通りです。
- (1)事故発生要因の排除(法令順守・心身の健康・車両整備)
- (2)十分な運転技能
- (3)運転への集中等
それを、より実務的・積極的な安全対策として進めるために考えられたのがKYTです。
KYTは自らの経験(ヒヤリ・ハット)や事故発生個所、日頃から危険だと感じている箇所などを出し合い、皆で対策をまとめることによって、危険を予知し事前に対処するための「気づき」を身に付けることができます。
この「気づき」が非常に重要です。
なぜならば、与えられる安全教育とは違い、自らが生み出した能動的なものになるからです。
その特徴は以下に集約されるでしょう。
- (1)自らの報告や意見が取り入れられことによる参加意識と責任感
- (2)同僚の「現場での気づき」が集約されたことによる連帯感
- (3)日常的に経験できる具体的な事故防止対策としての共通認識
- (4)状況の変化に即応して対策が打ち出せる、柔軟かつ身の丈に合った手法
- (5)積極的に、それも事前に安全な状態が作れる安心感
能動的に行うことで、事故防止対策として最も重要な「徹底度」が飛躍的に向上することになります。
そして、安全の基本である「危険に近づかない」「危険から離れる」ということに、自らが気づきそれを自発的に実践することになります。
KYTは、多額のコストをかけることなく、全員参加で行うことができ、イラストシート等の修正も容易であり、かつ、徹底度の高い訓練方法といえます。
また、KYTを継続実践し効果を確認し、改善を繰り返すことにより、危険に対する「気づき」への能力が高まると共に、職場のチームワークが向上し、良好な上下関係や人間関係が醸成されます。
そして、「気づき能力」が向上すれば、事故防止のみならず、車の運転で、自分や他の人、あるいは社会の平穏な生活を壊してはいけないとの認識へと繋がっていくのはないでしょうか。
次回は、KYTの具体的な進め方をご紹介します。