会社の資産で、最も管理が難しいのが「自動車管理」
何故なら、自動車は「移動」するからです。
そして、移動させるのが「人」だからです。
机やパソコンなどと違い、自動車が移動すれば管理担当者の目が届かず、どのような使い方をされているのか確認することができません。また、移動すれば事故の確率は高くなり、法律に違反した移動は処罰されることになります。
従業員が交通事故を起こした時、「それは従業員の問題であって、会社は無関係」と片づけるわけにはいきません。故意または過失の事故であれば従業員本人には損害賠償責任が生じます。また、事故を起こした車両が社有車であったり、運転行為が「取引先に向かう途中」、「会社の用事で銀行へ向かう途中」など業務に関することであれば、会社も損害賠償責任を負うことになるのです。更に、管理責任者の責任追及、事故処理に有する時間と労力、金銭的損失、社会的ダメージなど多大な損害が生じることになります。それを回避するには、事故を起こさないこと、事故が起きても損害を最小限にすることが重要となります。つまり、車両管理の第1の目的は「リスク回避」にあると言えます。
車両管理のもう一つの目的は、「コスト管理」です。
自動車の特徴は「動く」ことにあります。動く為には燃料が必要ですが、急発進・急加速をしない、アイドリングをしない等の運転(エコドライブ)は燃費が良くなることがわかっています。また、エコドライブは、燃費の向上だけでなく二酸化炭素の排出量が少ない環境にやさしい運転と言え、エコドライブを推進する企業は社会的責任を果たしているともいえます。更に、定期的な整備の実施は、燃費の向上させるだけでなく、突然の故障で慌てたりすることもなくなります。
車両管理とは、車両本体だけでなく「車両に関する管理」と言えます。
では、「車両管理」とは、具体的に何を行えばいいのでしょうか。
車両管理は、次の3つに分けて考えることができます。
1.自動車本体に関する管理
車両の保管場所・保管方法、性能・安全性の維持管理、燃料・消耗品の管理・・・
2.運転手に関する管理
安全運転教育、運転者時間管理、飲酒運転防止・・・
3.運行に関する管理
車両の適正な配置、運転時間の適正化、運行実態の把握・・・
そして、重要なのが、「上記の管理を行う部署を明確にすること」です。
さて、自動車を有する会社と言っても、タクシー、バス、運送トラックなど運送業を営む会社もあれば、一般の会社で営業車両が数台という会社もあり、各企業の状況は、業種・規模・組織など多様であり、車種についても同様です。その中で「車両管理」を行っていくには、自社の状況を把握し実情に合わせた管理である必要があります。
車両管理のチェックポイント
1.安全運転管理者、副安全運転管理者は選任され公安委員会への届出がされていますか。
(1)安全運転管理者・・・自動車5台以上 または 乗車定員11人以上の自動車は1台以上
(2)副安全運転管理者・・・自動車20台以上を使用する事業所
2.車両管理台帳で車両に関する情報を管理していますか。
購入日、車種、登録番号等、加入する保険、整備状況、リース契約など、車両に関するデータを車両ごとに記録します。複数の車両を管理する時は、全車両の情報を一覧にすれば定期点検、車検の時期、保険の更新時期などがわかり整備費用や保険料の予算がたてやすくなります。
3.運転日誌等で車両の使用状況を管理していますか。
乗車日、使用前走行距離、使用後走行距離、使用者、使用目的、給油などの情報を記録します。継続して記録することで車両および使用者ごとの使用状況が見えてきます。