【新連載 アキバ社労士の労務最前線 vol.3】 就業規則は誰のもの?
秋葉原に、『社会保険労務士事務所オフィス松本』を開設する実務家社労士が、人事担当者の悩み・労働関係諸法令など、労務の最前線情報をお届け致します。
今回は、社長の奥様(専務)からのご相談です。
中小企業では、社長の奥様が経理・総務を担当されていることがよくあります。
何故か、社長は従業員に対して甘く(?)、奥様は職場の規律を守るのに苦労されていることが多いように思います。
さて、奥様からのご相談は、
「会社の備品を勝手に持ち出す社員がいて困る。注意をしても、いろいろと反論してきて全く言うことを聞かない。社長は細かいことゴチャゴチャ言うなって言うし・・・」
このご相談、どこかで聞いたことがある様な・・・。そうです、「子育て」について、両親の意見が違うと、子供が言うことを聞かなくなってしまう・・・あれと同じです。
会社の規則に、いくつかの解釈や運用があっては「規則」ではありません。職場規律に、「今回は・・」「それくらい・・」と例外を認めていては、職場の規律が乱れて行きます。
今回の相談では、会社のルールを確認します。
「備品の持ち出し禁止の規則がありますか」
「従業員の持ち出すものは、持ち出し禁止の備品に該当しますか」
この2点を満たせば、従業員に会社のルールを守るよう指導する根拠ができます。
従業員にルールに従った行動をとるように注意、指導を行います。時には、口頭注意だけでなく、始末書を書かせる等の対応が必要かもしれません。
もし、規則がなく「従業員の常識」を期待してのルールならば、会社の規則に盛り込むことが必要でしょう。何故なら、「常識」と言うのは人によって違うからです。従業員が、「会社の常識」によって行動させるのが就業規則とも言えます。
「就業規則は、従業員が遵守するだけではなく、会社も従業員に遵守させることを求められます」
と説明すると、
「今度、社長に就業規則を説明してやってください」。
・・・奥様の本当の悩みは、ルールを守らない社長のようです。
by office-matsumoto | 2010-12-14