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おふぃま新聞 11月号

11月のおふぃま新聞は以下の内容でお送りします。

1.二次補正予算が成立! 新たに創設される助成金は?

10月11日に臨時国会で平成28年度の第二次補正予算が成立しました。
助成金の関連予算では、『保育関連事業主に対する職場定着支援助成金の拡充』、『介護離職防止支援助成金(仮称)』、『生活保護受給者等を雇い入れる事業主への助成措置の創設』、『65歳超雇用推進助成金(仮称)の創設』、『キャリアアップ助成金の拡充』、『熊本地震からの復旧・復興としての地域雇用開発助成金の拡充(制度要求)』といった内容が盛り込まれています。詳細等については今後、厚生労働省から発表される予定です。

2.職場での旧姓使用は可か否か 〜東京地裁判決から考える

私立中学・高校の女性教諭が、結婚後に職場で旧姓使用が認められず人格権を侵害されたとして、学校側に旧姓の使用と約120万円の損害賠償を求めた裁判の判決が10月11日に東京地裁であり、「職場で戸籍上の氏名の使用を求めることには合理性、必要性がある」として、教諭の請求を棄却しました。
原告側弁護士は「現代の社会の実情が見えていない判決だ」と批判し、控訴する意向です。
個人を識別するうえで、旧姓より戸籍上の姓のほうが、本当に合理性があるのか、行政では住民票の写しやマイナンバーカードへの旧姓併記も検討され、「女性活躍」が唱えられる中で時代に逆行するのではないか、判決を受けて再び議論が高まりそうです。

3.労務面で問題の多い運送事業者における法違反等の状況

厚生労働省から、トラック、バス、タクシーなどの自動車運転者(ドライバー)を使用する事業場に対して行われた監督指導や送検の状況(平成27年)が公表されました。どの業種でも80%以上の違反率となっており、主な違反事項としてはどの業種においても「労働時間」「割増賃金」「休日」の順で多く指摘されています。また、改善基準告示違反では、「最大拘束時間」「総拘束時間」「休息時間」「連続運転時間」「最大運転時間」の順で多く指摘されています。
重大または悪質な労働基準関係法令違反による送検件数は60件となっており、特にトラックは送検件数が上昇傾向にあり、他の業種が減少傾向にあるのとは対照的です。

ドライバーについては長時間労働の実態が常態化しており、脳・心臓疾患の労災請求件数および認定件数が最も多い職種です。
運送業では「人手不足」に悩む会社が特に多くなっていますが、福利厚生やコンプライアンス面を整備していかないと満足な採用につなげられない時代となりました。
仕事内容や運賃の見直しなどの財務面と併せて、労務面の課題にも積極的に取り組む必要があると言えるでしょう。

4.「労働時間管理」をめぐる役員の責任と求められる対応

銀行の行員だった男性が過労からうつ病を発症し、投身自殺をした事件で、男性の妻が銀行を訴え、熊本地裁は、銀行が注意義務を怠り、行き過ぎた長時間労働をさせたと認定し、慰謝料など1億2,886万円の支払いを命じました。
そして今年9月、この妻が、銀行の株主としての立場で、当時の役員ら11人に対し、過労死を防ぐ体制づくりを怠り銀行に損害を与えたとして、約2億6,400万円の損害金の支払いを求める株主代表訴訟を提起しました。
株主代表訴訟では、役員の任務懈怠により会社が損害を被ったとして責任追及がなされますが、過労死や過労自殺について任務懈怠責任を問う株主代表訴訟は初めてとのことです。

所定外労働時間の削減や有給休暇の取得促進に取り組む中小企業事業主は、厚生労働省の職場意識改善助成金(職場環境改善コース)を受給できる場合がありますので、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

5.従業員の「若年性認知症」と企業の対応

判断力が鈍くなった、何度も同じことを繰り返し聞くようになった――「もしかしたら『認知症』かもしれない」、そんな社員はいませんか? 65歳以上の発症を「認知症」、65歳未満の発症を「若年性認知症」と言います。
65歳までの雇用義務化で働くシニア層が急増する中、「社員が認知症になったらどう対処するか」は、今後、企業にとっての大きな課題となると言えます。

若年性認知症の場合、認知症への知識不足(「この年で認知症になんてなるはずがない」)や、認知症と診断されるリスクへのおそれ(「認知症だと診断されたら、働き続けることができない」)などから、医療機関の受診が遅くなりがちです。 しかし、認知症は、早期に適切な治療を受けることによって症状の進行を抑えられることもあります。

厚生労働省は今年度から、都道府県に「若年性認知症支援コーディネーター」を配置しています。職場に対しては、勤務調整や就労継続のためのアドバイスをするほか、職場復帰のための支援もしてくれますので、ぜひ活用したい存在です。

6.「配偶者控除の存続・廃止」の議論で家族手当が変わる?

政府・与党は、「働き方改革」の一環として議論が進めてられていた所得税の配偶者控除廃止について、来年度は見送りにすることを決定しました。廃止から一転、対象範囲を広げるべきという議論も出てきています。 現時点でこの「配偶者控除」の先行きは不透明ですが、これが企業に与える影響について考えてみましょう。

会社員の妻がパートなどで収入を得ると、年収103万円以上から所得税が発生し、夫の配偶者控除がなくなります。今回議論されているのが年収103万円以上の部分で、いわゆる「103万円の壁」です。パートとして働く「会社員の妻」の多くが、この「103万円の壁」を超えないよう調整しているのは周知の通りです。一方で企業側も、「103万円の壁」に合わせて家族手当(配偶者手当)を支給しています。

将来的に配偶者控除が廃止されるにせよ、逆に対象範囲が拡大されるにせよ、「103万円の壁」を基準として家族手当(配偶者手当)の額を定めている多くの企業はその基準を失うこととなります。
すでにトヨタ自動車やホンダといった企業が扶養配偶者への手当を廃止し、その分子供への手当を増額すると発表しています。従来のままの家族手当制度を見直すべき時期に来ているのかもしれません。

コラム

暑い暑いと言っていたら、季節はすっかり秋になっていて、月山は初冠雪、日光は紅葉が進んでいます。
私の一番好きな季節は、「秋」です。
春のポカポカ陽気よりも落ち着いた秋が好きです。食べ物がおいしくなるのも好きな理由です。

さて、電通の過労死の労災事故がニュースになっています。
4月入社し、配属されて1か月での自殺です。
長時間労働が問題として言われていますが、ニュースで見る限りハードな指導も原因だったように思います。
その指導に応えなければと言う焦りがうつ病を発症させたのでしょうか。

先日、初めて厚生労働省から「過労死等防止対策白書」が出ました。
概要は30頁ありますが、詳細な分析がされていますのでご参考にしてみてはいかがでしょうか。

by office-matsumoto | 2016-11-01

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